本展は、『ピーターラビットのおはなし』出版120周年をお祝いして、ピーターラビット™の誕生前夜から今日に至るまでの歩みを、物語の原点となった絵手紙や貴重な彩色原画など約170点で振り返ります。盛大なバースデイパーティにぜひお越しください。
ビアトリクス・ポター 1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館 Courtesy of the Victoria and Albert Museum
ロンドンの裕福な家庭に生まれたビアトリクス・ポター™(1866 - 1943)は幼い頃から絵を描く才能を発揮し、特に小動物を好んで描きました。挿絵画家として仕事を始めた頃、元家庭教師の息子、ノエル・ムーアの療養を見舞う、いたずら好きのウサギのピーターについての絵手紙を送ったことから始まった「ピーターラビット」シリーズは、世界中で2億5000万部を超えるロングセラーとなっています。ビアトリクスは絵本だけではなくピーターラビットの様々な関連商品も手がけました。絵本のキャラクターを商品化するための特許を取得したのは、ビアトリクスが最初の人物だと言われています。彼女の情熱はイギリスの湖水地方の景観を守ることにも向けられ、著書によって得た収入を元に広大な土地を次々と購入し、農場経営を通して、生涯に渡りその自然を守り続けます。彼女の没後、そのほとんど全ての土地と建物はナショナル・トラストに寄贈されました。
ピーターラビット
誕生までの物語
原点となる絵手紙とウサギの
スケッチを日本初公開!
『ピーターラビットのおはなし』は、1893年、ビアトリクスが病床の元家庭教師の息子ノエル・ムーアを元気づけるために送った絵手紙が原点となっています。展覧会では、その貴重な絵手紙の直筆オリジナルを日本初公開!併せて、ビアトリクスが描いた日本初公開となるペットのウサギのスケッチなど、ピーターラビットが誕生する前に制作された貴重な作品も展示します。ビアトリクスの卓越した観察力と写実性は、後のピーターラビットの世界へと繫がっていきます。
《ノエル・ムーア宛ての絵手紙》1893年 ピアーソン PLC © Victoria & Albert Museum, London, 2015
《横たわるウサギの習作》1899年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
《庭の野ウサギ》 1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
《グリーティングカード》 ヒルデスハイマー&フォークナー社 1890年 ビアトリクス・ポター協会 © Victoria & Albert Museum, London, 2014
《ノエル・ムーア宛ての絵手紙》1893年 ピアーソン PLC © Victoria & Albert Museum, London, 2015
『ピーターラビットのおはなし』の原点となった絵手紙。
《横たわるウサギの習作》1899年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
ペットのウサギをモデルにしたスケッチは、やがてグリーティングカードや、詩集の挿絵の仕事へと繫がっていきました。
《庭の野ウサギ》 1892年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
ペットのウサギをモデルにしたスケッチは、やがてグリーティングカードや、詩集の挿絵の仕事へと繫がっていきました。
《グリーティングカード》 ヒルデスハイマー&フォークナー社 1890年 ビアトリクス・ポター協会 © Victoria & Albert Museum, London, 2014
ヒルデスハイマー&フォークナー社のクリスマスと新年を祝うグリーティングカードとして販売されました。
日本初!!
シリーズ最初の絵本
『ピーターラビットのおはなし』
彩色画全点*1を一堂に展示!
1902年、ロンドンの出版社フレデリック・ウォーン社*2から『ピーターラビットのおはなし』が刊行されることとなり、ビアトリクスは全ての挿絵を水彩で描きました。初版本や版を重ねた絵本では、一部の挿絵が掲載されませんでしたが、出版から100年が経過した2002年以降、ビアトリクスの当初の想いを尊重し、英語版の絵本では全ての挿絵が掲載されるようになりました*3。そして出版120周年を祝う本展では、日本初公開の原画を含む彩色画全点を紹介し、作者が当初思い描いた絵本のすがたを展示で再現します。
*1 ビアトリクスによる原画が所在不明となっており、フレデリック・ウォーン社が、2010年に再制作したものを含みます。
*2 フレデリック・ウォーン社はThe World of Peter Rabbit™のブランドオーナーです。
*3 日本でも、挿絵全点を掲載した絵本『ピーターラビットのおはなし』を含む全23巻の新訳版が2022年3月より順次出版されます(早川書房刊)。
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2017
《『ピーターラビットのおはなし』挿絵原画》 1902年 ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(リンダー・コレクションからの寄贈) Courtesy of The Victoria and Albert Museum and Frederick Warne & Co.
展覧会では初版本では未使用となった挿絵の原画も展示します。
絵本を抜け出した
ピーターラビット!
作者ビアトリクス・ポター監修、
100年以上前に作られた
貴重な関連アイテムも大公開!
ビアトリクスは、絵本の出版だけではなく生涯にわたって様々な関連商品も手がけました。絵本のキャラクターを商品化するための特許を取得したのは、ビアトリクスが最初の人物だと言われています。商品化に対する彼女の意欲は旺盛で、アイデアには事欠かず、多数のアイテムを監修しては、納得がいくまで自分自身で品質やデザインを細かく確認しました。本展では作者自らが監修したピーターラビットのぬいぐるみなど、100年以上前に作られた貴重なアイテムの数々もご覧いただけます。
《ピーターラビットのぬいぐるみ特許証》 1903年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2020
《ピーターラビットのぬいぐるみ》 シュタイフ社 1905年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2015
《ICAA グリーティングカード》 フレデリック・ウォーン社 発行年不詳 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2021
《ピーターラビットのルームシューズ》 ジョイ・フットウェア社 1919年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2021
《ピーターラビットのぬいぐるみ特許証》 1903年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2020
ビアトリクスは、1903年に自作したぬいぐるみの写真を撮り、商品化のため特許を取得しました。
《ピーターラビットのぬいぐるみ》 シュタイフ社 1905年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2015
特許取得の2年後に製造されたシュタイフ社製のピーターラビットのぬいぐるみは、正式な許可のもとで販売されました。
《ICAA グリーティングカード》 フレデリック・ウォーン社 発行年不詳 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2021
《ピーターラビットのルームシューズ》 ジョイ・フットウェア社 1919年 ウォーン・アーカイブ/フレデリック・ウォーン社 © Frederick Warne & Co. Ltd, 2021
特大バースデイケーキで
お祝いしよう!
ハッピーバースデイ!
ピーターラビット
世界中の人がピーターラビットを愛し、周年ごとにその誕生をお祝いしてきました。
展覧会では、これまでに製作された記念のアイテムをご紹介するとともに、ピーターラビットの世界を体験できるイギリス湖水地方のザ・ワールド・オブ・ビアトリクス・ポター・アトラクションが本展のため特別に制作した、高さ180 cmの特大バースデイケーキも登場し、ピーターラビットの出版120周年を楽しくお祝いします。
バースデイケーキデザイン Designed by Caroline Dalton (*画像はイメージです。実際の展示物とは異なる可能性があります。)
《『ピーターラビットのおはなし』出版100周年記念版 》 フレデリック・ウォーン社 2002年 大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館
《ピーターラビットのナーサリーウェア(クイーンズウェア・コレクション):プレート》 ウェッジウッド社 1947-1955年
《バースデイプレート1991年》 ウェッジウッド社 1990年 個人蔵
バースデイケーキデザイン
Designed by Caroline Dalton
(*画像はイメージです。実際の展示物とは異なる可能性があります。)
《『ピーターラビットのおはなし』出版100周年記念版 》 フレデリック・ウォーン社 2002年 大東文化大学ビアトリクス・ポター資料館
《ピーターラビットのナーサリーウェア(クイーンズウェア・コレクション):プレート》 ウェッジウッド社 1947-1955年
陶磁器メーカーのウェッジウッド社は、『ピーターラビットのおはなし』出版45周年の1947年にピーターラビットをモチーフにしたシリーズの製造・販売を始めました。
《バースデイプレート1991年》 ウェッジウッド社 1990年 個人蔵
陶磁器メーカーのウェッジウッド社は、『ピーターラビットのおはなし』出版45周年の1947年にピーターラビッをモチーフにしたシリーズの製造・販売を始めました。